虫よけ製品(人体に直接使用)を取り巻く規制

ものすごく暑い6月を経て、ようやく今年もいつもの夏にになってきたように感じます。
となると出てくるのが、蚊です。肌の露出が増える夏には、虫よけ剤を上手に使いたいものです。

今回は「人体に直接使用する虫よけ製品」について書いていきます。
でも、一般の方向けの情報は既にインターネット上にいっぱいありますので、
ここでは「虫よけ」製品を輸入・開発・販売したい!という方向けの情報をざっくり書いていきたいと思います。

虫よけ剤の薬事法上のカテゴライズ

人体に直接使用する虫よけ製品は、衛生害虫を対象とし、かつディート又はイカリジンによる虫よけ効果であるならば、医薬品又は医薬部外品の可能性があります。その他の成分による虫よけ効果だったり、その他の虫が対象である場合には医薬品にカテゴライズされます。お店に行くと、虫が嫌うとされるハーブや成分を使った製品で、人体に塗ったりスプレーしたりする製品が売られていたりします。単に肌に塗布する製品というだけならば化粧品の可能性はありますが、虫よけ効果の表示や広告を行った場合、これらは医薬品又は医薬部外品にのみ許された表現であることから、当該製品は未承認の医薬品又は医薬部外品として取り扱われます。最後になりますが、薬機法だけではなく、景表法や化審法もおわすれなく。

ドラッグストアや雑貨店などで色々な種類が売られている人体に直接使用するタイプの虫よけ剤ですが
実は、虫よけ(忌避剤)として販売できるのは「医薬品」又は「医薬部外品」のみなのです。
これらは「防除用医薬品(忌避剤)」又は「防除用医薬部外品(忌避剤)」とカテゴライズされています。

それらの承認を得ていないのに虫よけ効果を標榜しているものは未承認の医薬品/医薬部外品であり不適切。
ですので、これから「虫よけ」を標榜する製品を日本に出していくならば「医薬品」又は「医薬部外品」への舵取りが順当ですね。

(用語)衛生害虫とは

衛生に害をなす(感染症の媒介、疾病の原因となる)虫のことをいいます。
もともと旧伝染病予防法で規定されていた用語とのことです[1]。

医薬部外品では、衛生害虫のうち、「蚊成虫、ブユ(ブヨ)、サシバエ、飲み、イエダニ、トコジラミ(ナンキンムシ)等の忌避」が訴求できます(参考平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号の表1−3)。

(用語)ディートとは

ディートとは、ジエチルトルアミド。
ジカ熱で国内が大騒ぎとなった2016年に、配合可能性が30%まで引き上げられました[2]。

(用語)イカリジンとは

イカリジンとは、1-メチルプロピル2-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジンカルボキシレート。
日本では2015年に防除用医薬品/医薬部外品の有効成分として新しく登場しました[3][4]。
こちらもディートと同様2016年に配合可能性が15%まで引き上げられています[2]。

医薬品と医薬部外品、どちらのルートを選択する?

どちらがいい、というものではありません。ですが、
医薬品は市場への投入までのハードルが高いが、資料さえ揃えられるならば自由度は高い
医薬部外品はハードルが下がるものの、医薬部外品という枠内に収める必要がある、という感じです。

目指すものに合わせて、開発の段階で最適なルートを確定しておくのが、一番無駄がありません。

おわりに

防除用医薬品/医薬部外品というのはニッチなのか、承認申請にかかる具体的通知等に乏しい状況です。
自社で実績がない場合には、承認にたどり着くまでそれなりの困難が予想されます。

弊事務所はヘルスケア製品ビジネスに取り組んでいらっしゃる事業者の皆さまを応援しています。
医薬部外品にかかる一連の手続きについてはもちろん、医薬品にするのか、医薬部外品にするのか、といった判断がつけられない!といったご相談もお受けしております。
最初の面談は無料ですので、企画段階からでも、手元に製品出来上がっていても、どうぞお気軽にご連絡ください。

参考

  1. "衛生害虫に関すること". 東京都多摩小平保健所. 更新日不明. https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tamakodaira/kankyou/nezumi/eiseigaityu.html .(参照2022-07-15)
  2. 「防除用医薬品及び防除用医薬部外品の製造販売承認申請に係る手続きについて」平成28年6月15日薬生審査発0615第1号厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc2008&dataType=1&pageNo=1.(参照2022-07-15)
  3. "2015年3月6日 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録". 厚生労働省. 更新日不明. https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000094699.html. (参照2022-07-15)
  4. (イカリジンを有効成分とする3製品の承認申請に対する)"審査報告書". 独立行政法人医薬品医療機器総合機構. https://www.pmda.go.jp/quasi_drugs/2015/Q20150615002/400092000_22700DZX00374000_Q100_1.pdf. (参照2022-07-15)

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