化粧品ビジネスQ&A_輸入して販売・配布したい

海外から化粧品を輸入して、日本国内で販売・配布したい。手続きの流れを教えてください。

おおまかな流れは下記のようなものです。この流れは販売(有償)、配布(無償)を問いません。

  1. 事前準備
    • 製品の法律適合を確認
    • 業者の許可取得等手続き
    • 当該化粧品について届け出
    • その他通関前準備
  2. 海外メーカーから出荷・通関
  3. 品質確認
  4. 日本国内での販売

以下に、各項目についてざっくり説明を記載します。

1. 事前準備

・製品の法律適合を確認

メーカーより成分表、SDS、容器包装デザイン等の情報を入手し、確認を行います。
成分表には各成分の配合量情報が必要で、正確なINCI名に加えCAS番号の情報があるとニッコリです。

【製品の使用目的及び容器包装】

日本での製品の使用目的をどう訴求するのか確定し、「化粧品」の範疇であることを確認します。
一般的な話に限るなら、東京都健康安全研究センターの記述がわかりやすいと思います(https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/kj_shoku/cosme/cosme2/)。実際には各製品ごとに検討が必要です。

また、容器包装に関しても、化粧品の範疇にとどまっているかどうかを確認します。
もし逸脱しているようならば、消費者の誤解を防ぐためにどのような方策をとるか、決めておきましょう。

【内容物】

内容物が「化粧品」の範疇であることを確認するとともに、後でバタバタしないように他法令についても確認をしておきます。

  • 化粧品基準(厚生省告示331号)に適合するか
    • 保健衛生上危険を生じるおそれはないか
    • ネガティブリストに抵触しないか
      • 配合禁止成分リスト・配合制限リスト
      • 医薬品成分、生物由来原料基準、化審法
    • ポジティブリストに抵触しないか
      • 防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素、グリセリン中のジエチレングリコール量
  • その他法令の確認(例)
    • ワシントン条約への抵触確認
    • 航空法上の危険物への該当性確認:高圧ガス、引火性、可燃性等
    • 高圧ガス保安法上の適用除外要件への該当性確認:内容量1L以下、内圧0.8MPa以下
    • 消防法上の危険物への該当性確認:エタノール濃度が60重量%を超えるか、量として80Lを超えるか
    • 塩事業法上の塩への該当性確認 : 塩化ナトリウムの含有量が 100 分の 40 以上の固形物に該当するか

・業者の許可取得等手続き

化粧品を取り扱う業者には、許可が求められます。
輸入化粧品ではほとんどの場合、下記3つは必要となります。

  • 海外メーカーが、外国製造販売業者の届出を行う
  • 通関後、検品やラベル貼りをし、出荷判定まで保管する事業者が、化粧品製造業の許可取得(包装・表示等区分)
  • 日本国内での製品責任を持つ事業者が、化粧品製造販売業者の許可を取得する
化粧品の製造〜販売フロー

製造販売業者は、製品の継続的な品質確保のために、下記の事項も確認しておきましょう。

  • 業者間の取り決め書を確認
  • PL保険への加入(任意)
  • 消防法の届出又は許可状況(該当する場合のみ)
  • 塩事業法の特殊用塩特定販売業届出状況(該当する場合のみ)

・当該化粧品について届け出

製造販売業者は、当該化粧品について「化粧品製造販売届書」を作成し届出ます。
そろそろ品質標準書も作成し終えておくのがおすすめです。

・その他通関前準備

  • 関税確認:「化粧品の関税は0」と言われたりもしますが、あらかじめ税関相談官室に相談することをおすすめします(事前教示制度)。
  • ワシントン条約に係る、原産地証明等の手配(該当する場合のみ)
  • 高圧ガス保安法の適応除外のための試験成績書及び表示要件通知書の手配(該当する場合のみ)

2. 海外メーカーから出荷・通関

通関業者に代行を依頼している場合は、必要となる資料について見通しが立てやすく、大慌てになりにくいと思います。
自ら通関手続きを行う場合には、税関の指示に従って資料を提出するのですが、どうしても後手にまわりやすく通関に時間がかかることもしばしば…。

参考(JETRO、(質問)輸入通関手続きや国内輸送の手配を輸入者本人が行う場合と通関業者に委託する場合の手続きを教えてください。

3. 納入、品質確認

通関後の貨物が無事に納品されると後はもう一息ですね。
ただしこの貨物ですが、製造販売業者の出荷判定が終わるまでは、完成品であっても「半製品」扱いなのです。
そのため、当該化粧品の製造販売届で記載した製造業者にのみ、通関後納品が可能ということになります。

注意しなければならないのは、「登録」された化粧品製造業者に保管されているときには、下記の行為はできません。

  • ラベル貼り、箱の入れ替え、アッセンブリーといった、包装・表示行為
  • 製品検査(保管のための検査は除く)
  • 出荷判定

これらのことができるのは「許可」を持つ製造業者のみです。

参考(令和3年4月28日 薬生薬審発0428第2号「医薬品等の保管のみを行う製造所の取扱い等について」)

4. 日本国内での販売

製造販売業者による出荷判定がなされてようやく販売が可能になります。
この後の製品を取り扱う事業者には許可は不要です。

販売を開始した後も、製造販売業者として情報収集や品質確保のための措置などの継続的な取り組みが必要です。
また、容器包装リサイクル法に基づく帳簿の作成や再商品化の取り組みも必要です。

最後に

化粧品を日本で流通させることに伴う、手続きや確認事項は案外多いものです。
ですがこのような手続きをきちんと押さえていくことで、安心してビジネスもできるもの。

お困りの場合にはお気軽にご相談ください。

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