化粧品ビジネスQ&A_業許可取得のコストは?

日本国内で化粧品に関する業許可を取得したい。どのくらい費用がかかる?

事務所借りて法人成りからスタートだと、イニシャルコストで300万超、ランニングコストで72万/月ほどかかることが見込まれます(製造・検査にかかる設備は考慮しない場合)。内容物(バルク)製造も行う場合はケースごとによります。
既に場所がある場合には、資格者の雇用にかかる費用だけかもしれません。

以下に、ひとつずつざっくり説明を記載します。

1. 場所・設備

・製造販売業

この場合、一般的な事務所があれば、許可取得に問題はないとされることが多いです。

以下の条件で想定すると、イニシャルコストは概ね300万程度。ランニングコストは家賃プラスαという感じでしょうか。

  • 家賃20~25万円
  • 敷金6ヶ月
  • 礼金・仲介手数料・前家賃各1ヶ月
  • 火災保険2万
  • 一般的な事務設備費用

・製造業(包装等区分)

製造工程のうち、包装・表示・保管のみを行う場合は、製造区分「包装等区分」の許可を持つ必要があります。
化粧品を輸入して販売したいと考えてらっしゃる企業さんは、これと製造販売業許可をセットで取得されるケースが多いですね。
この製造所には、構造設備が「薬局等構造設備規則」の第13条の2で準用される第10条の規定に適合することが求められます。

(包装等区分の医薬品製造業者等の製造所の構造設備)※「医薬品製造業者等」を「製造業者」に書き換え済
第十条 施行規則第二十五条第一項第五号の区分及び施行規則第三十五条第一項第五号の区分の製造業者の製造所の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一 製品等及び資材を衛生的かつ安全に保管するために必要な構造及び設備を有すること。
二 作業を適切に行うのに支障のない面積を有すること。
三 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であつて、支障ないと認められるときは、この限りでない。

薬局等構造設備規則(昭和三十六年厚生省令第二号)施行日: 令和三年八月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=336M50000100002_20210801_503M60000100015

この区分では、試験検査を外注する場合であれば、一般的な事務所内でも許可されるケースは多いです(一及び二で求められているスペースの確保は必要)。
もちろん許可権者は都道府県なので、事前に確認することはマストです。

・製造業(一般区分)

製造工程の全部又は一部を行う場合は、製造区分「一般区分」の許可を持つ必要があります。
この製造所には、構造設備が「薬局等構造設備規則」の第13条に適合することが求められます。

(一般区分の化粧品製造業者の製造所の構造設備)
第十三条 施行規則第二十五条第三項第一号の区分の製造業者の製造所の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一 当該製造所の製品を製造するのに必要な設備及び器具を備えていること。
二 作業所は、次に定めるところに適合するものであること。
イ 換気が適切であり、かつ、清潔であること。
ロ 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること。
ハ 作業を行うのに支障のない面積を有すること。
ニ 防じん、防虫及び防そのための構造又は設備を有すること。
ホ 床は、板張り、コンクリート又はこれらに準ずるものであること。
ヘ 廃水及び廃棄物の処理に要する設備又は器具を備えていること。
三 製品、原料及び資材を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。
四 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であつて、支障がないと認められるときは、この限りでない。

薬局等構造設備規則(昭和三十六年厚生省令第二号)施行日: 令和三年八月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=336M50000100002_20210801_503M60000100015

許可権者は都道府県です。
完成してからダメとなるとダメージが大きいので、この区分の許可を取得するつもりなら、図面段階で相談することを強くお勧めします。
居抜きの施設をそのまま使う場合であっても、アップデートが必要な場合もありますので、許可申請前の相談をお勧めします。

2. 人の雇用

製造販売業ではいわゆる三役(総括製造販売責任者、品質保証責任者、安全管理責任者)を、製造業では責任技術者を常勤で雇用することが求められます。

この三役+一役は、兼任が認められるケースもあります(平成16年7月9日薬食発第0709004号)。
同一所在地であること等条件が揃えば、化粧品であれば「総括製造販売責任者」の要件を満たす方お一人で全てをカバーできる場合もあります。
(繰り返しになりますが、許可権者は都道府県なので、学歴等を把握した上で事前の都道府県への問い合わせを強くお勧めします。)

お一人雇用で考えると、下記の条件で概ね42万円/月という感じでしょうか。転職エージェント等を使う場合はその分イニシャルコストとしてかかってきます。

  • 支給額30万円/月
  • ボーナス2ヶ月分/年
  • 通勤手当2万円/月
  • 社会保険料55万/年

総括製造販売責任者の要件

総括製造販売責任者は、化粧品の品質管理及び製造販売後安全管理を統括する責任者です。
万一製品に品質・安全上の問題が生じた場合に、製品の流通を止めたり回収したりしてでも被害の拡大を防ぐことが求められます。よって営業に関する部署に所属している方(いわゆる社長含め)は、責任者として認められない場合が多いです。

施行規則第85条の2第2項
化粧品の品質管理及び製造販売後安全管理を行う者に係る法第17条第1項に規定する厚生労働省令で定める基準は、次の各号のいずれかに該当する者であることとする。

一 薬剤師
二 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
三 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品又は化粧品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者
四 厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号)
施行日:令和四年十二月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=336M50000100001_20221201_504M60000100128

品質保証責任者、安全管理責任者の要件

化粧品では、学歴や職歴の縛りはありません。

責任技術者の要件

責任技術者は、化粧品の製造を実地に管理する責任者です。

施行規則第91条第2項
法第17条第10項に規定する化粧品の製造所の責任技術者は、次の各号のいずれかに該当する者でなければならない。

一 薬剤師
二 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
三 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品又は化粧品の製造に関する業務に3年以上従事した者
四 厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号)
施行日:令和四年十二月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=336M50000100001_20221201_504M60000100128

3. 会社設立

資本金1円でも株式会社設立できるようになりましたが、会社設立には以下のような費用がかかるので、株式会社では20万、合同会社では7万円は最低見込んでおく必要があります。

  • 印鑑作成
  • 定款認証費用(最低でも3万円、合同会社なら不要)
  • 登録免許税(株式会社では最低でも15万円、合同会社なら最低でも6万円)
  • 紙定款の場合収入印紙代4万円、電子定款の場合には0円だが専用ソフトウェアの準備が必要

上記に加え、司法書士や行政書士に依頼した場合には、依頼費用もかかります。

4. 許可取得費用

東京都の場合、許可申請の手数料として下記の金額がかかります。

  • 製造販売業:57,400円
  • 製造業(包装等):32,800円
  • 製造業(一般):39,000円

最後に

化粧品ビジネスにかかる許可取得には結構お金がかかります。
ビジネスプランを立てて、長期的な運営を目指されることをお勧めします。

許可の取得に関し、お困りの場合にはお気軽にご相談ください。

お気軽にご相談ください。

・初回相談は無料です。
・行政書士には秘密保持の義務が課せられております。
・フォームに入力されたメールアドレス以外に、当事務所から連絡差し上げることはいたしません。