動物愛護管理法の改正(犬猫へのマイクロチップ装着&情報登録の強化)

我が家には猫がいます。Web会議をしていると度々邪魔をしにきます。
隣区の公園で保護された女の子で、同じく保護猫だった前猫が旅立ったあとしばらくした後、ご縁をいただいて我が家に腰を据えてもらっています。
様子から見て、以前はどこかのお家で飼われていたのでは、と保護した方が言ってらっしゃいました。
残念ながらマイクロチップや住所タグはついておらず、飼い主さんの特定はできなかったのです。

動物の飼い主さんのほとんどは、飼育している動物たちが迷子にならないように十分配慮なさっているとは思います。
でも予想もつかないことは起こるものです。
そして実際に動物が迷子になってしまった時、動物用のマイクロチップは大きな頼りとなってくれます。

迷い犬猫とマイクロチップ。万一飼い犬や飼い猫が迷子になってしまったら。誰かが保護し、行政に連れて行ってくれるかもしれません。ここでいう行政とは、都道府県等、基礎自治体又は警察を指します。行政に保護された犬猫はマイクロチップのスキャンをされます。犬猫にきちんとマイクロチップが挿入されており、かつ飼い主の情報がデータベースに登録されていれば、行政が飼い主を特定し、連絡、無事にまた会えることでしょう。
迷い犬猫とマイクロチップ。万一飼い犬や飼い猫が迷子になってしまったら。誰かが保護し、行政に連れて行ってくれるかもしれません。ここでいう行政とは、都道府県等、基礎自治体又は警察を指します。行政に保護された犬猫はマイクロチップのスキャンをされます。犬猫にきちんとマイクロチップが挿入されており、かつ飼い主の情報がデータベースに登録されていれば、行政が飼い主を特定し、連絡、無事にまた会えることでしょう。

さて、令和元年(2019年)6月、動物愛護管理法が改正されました。
この改正で、犬猫へのマイクロチップ装着及び情報登録の強化がなされており、実はつい先日の令和4年(2022年)6月から施行されています。
今回はこれについて、ざっくりお伝えしようと思います。

Lala

今回のポイント

  • 1:業者と一般人では義務の度合いが違う
  • 2:マイクロチップ挿入とデータベース登録はセット

ポイント1.業者と一般人では、マイクロチップに関する義務の度合いが違う

義務と努力義務とが混在していますので確認しておきましょう。

犬猫所有者の種類令和4年(2022年)6月から施行
犬猫販売業者(ブリーダー、ペットショップ等)マイクロチップの販売前の装着は義務
登録並びに所有者変更時の変更登録義務付け
動物愛護団体
一般の飼い主
マイクロチップの装着努力義務
ただし装着した場合、登録及び変更登録等義務

ポイント2.マイクロチップ挿入とデータベース登録はセット

チップを入れて、公のデータベースに登録するまでやって、ようやく一つの安心ゲット、という感じです。

動物用マイクロチップとは

マイクロチップは外れることのない「小さな名札」です(出典:参考1)

お店でお買い物をする際、バーコードを赤い光が出るスキャナーでピッとすると、どの商品を購入しようとしているのか読み取ることができます。
そのバーコードと同じように、動物用のマイクロチップを、体外からスキャンすることで個体を識別することができるものです。

マイクロチップの埋め込みは動物病院で

マイクロチップ(右画像出典:参考1)は、動物病院などで獣医さん等が専用の注射器を使って埋め込んでくれます。

埋め込み後、獣医さんは「マイクロチップ装着証明書」を出してくれます。
(うちの猫の場合は、法改正前に挿入したので、日本獣医師会宛の「動物個体識別番号登録申込書(飼育者控用)」がこれにあたります。)
続くデータベースの情報登録や、実際に迷子になったとき、譲渡やペット死亡の際にまで使用する大切な書類ですので、しっかり保管しましょう。

マイクロチップの規格

動物用マイクロチップは、動物用医療機器(一般的名称:標識用器具)に該当します。
管理医療機器ですので、承認を受ける必要があります。(参考2)
なお、マイクロチップの挿入に用いる注射器(挿入器)を組み合わせ申請する場合が多い印象です。
申請先は農林水産省の組織である動物医薬品検査所ですね。
承認を受けるためには、申請者が動物用医療機器の製造販売業の許可を持っており、動物用医療機器の製造業者が製造していることも必要です。

そして、動物用マイクロチップには規格が設けられています。
2022年5月時点では、マイクロチップは、ISO11784、ISO11785 規格に準拠したものでかつ ISO 規格動物用電子タグ協議会に登録されたメーカーコードが付与されたものであることが求められています。また、マイクロチップリーダーについても、ISO 規格に対応した製品であることが求められています(参考3)。

弊事務所では、動物薬事にかかる許可申請、承認申請、届出等のご相談もお受けしております。
製品化をお考えの方は、お気軽にご連絡ください。

データベースへの情報登録とは

マイクロチップを挿入しただけでは、迷子になっても所有者は特定できません。
現在の所有者の情報をデータベースに登録しておくことが必要です。
所有者さんは、獣医さんからもらった「マイクロチップ装着証明書」の内容を基に、 環境省データベース「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトhttps://reg.mc.env.go.jp/に登録をすることになります(犬猫販売業者は義務、動物愛護団体や一般の飼い主は努力義務)。
登録や変更は、「マイクロチップ装着証明書」がお手元にあれば簡単です。忘れずに登録し、登録証明書をゲットしましょう。

報酬を受け取って、代理でこの登録申請、変更登録申請を行うことは、行政書士法違反です(一年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。
安易に人に頼まず、行政書士に依頼する、または、飼い主様ご自身で登録申請を行ってください。

おわりに

おしゃべりができない動物たちなので、ちゃんとお家に戻ってこられるような方策を取っておくのは飼い主の責任です。
そもそも迷子にならないのが一番ですが、万一に備えてマイクロチップは犬猫に入れておきましょう。

弊事務所では、動物用マイクロチップを含む動物用の医療機器の承認、届、許可を受けようとする事業者さんのサポートが可能です。
その他のお問い合わせ(例:マイクロチップの安全性や本制度についてなど)は、かかりつけの獣医師さん又は「犬と猫のマイクロチップ情報登録」( https://reg.mc.env.go.jp/ )などにご質問ください。

参考

  1. 「犬と猫のマイクロチップ情報登録」( https://reg.mc.env.go.jp/ )(参照2022−7−12)
  2. "「動物用医療機器の分類見直しに伴う事務手続き等について」平成27年4月9日27動薬第191号農林水産省動物医薬品検査所長. https://www.maff.go.jp/nval/hourei_tuuti/pdf/h27douya191.pdf. (参照2022−7−11)
  3. "「獣医師及び動物愛護管理行政担当者のためのマイクロチップの装着・読取りガイドライン」".環境省自然環境局総務課動物愛護管理室 環境大臣指定登録機関 公益社団法人日本獣医師会. 令和4年5月. https://pre.mc.env.go.jp/mc_guideline.pdf.(参照2022−7−11)

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