【2026年最新】医療機器(クラスⅠ~Ⅳ)販売業・貸与業の許可・届出と管理者要件の完全ガイド

医療機器ビジネスは、製品を「作る・市場に出す(製造販売業)」だけでなく、それを「売る・貸す(販売業・貸与業)」という重要な役割があって初めて成り立ちます。しかし、コンタクトレンズや家庭用マッサージ器など、身近な製品を扱う販売店やレンタル事業者であっても、薬機法(医薬品医療機器等法)に基づく「許可」や「届出」が必要になることをご存じでしょうか。また、その許可や届出が不要であっても遵守事項が定められていることまでも、ご存知でしょうか。

本記事では、自社のビジネスに許可が必要か否かを判断するためのポイントと、遵守事項を、扱う医療機器の種類から解説します。

「医療機器ビジネスは、製品を『作る・市場に出す(製造販売業)』と、それを顧客に届ける『売る・貸す(販売業・貸与業)』が車の両輪となって成り立っています。しかし、コンタクトレンズや家庭用機器といった身近な製品を扱うビジネスであっても、薬機法(医薬品医療機器等法)に基づく『許可』や『届出』が必要になるケースがあることは、ご存じでしょうか。さらに、許可や届出が不要なクラスⅠの医療機器でさえ、守るべきルール(遵守事項)が定められていることは、意外と知られていない事実です。

本記事では、『自社のビジネスに許可は必要なのか?』『届出で済むのはどんな場合か?』『許可不要でも守るべきルールとは?』といった疑問に答えるため、扱う医療機器の種類別に判断のポイントを解説します。

はじめに. 販売業・貸与業とは?

薬機法における「販売業」と「貸与業」は、文字通り医療機器を販売したり、貸与(レンタルやリース)したりするビジネスを指します。

  • 販売業: いわゆる「仲卸し」(製造販売業はそれで言うと「元売り」です)。医療機器を、薬局や店舗、インターネットなどを通じて消費者や医療機関に販売する事業です。
  • 貸与業: 医療機器を、顧客に対してレンタルやリースといった形で、期間を定めて貸し出す事業です。

重要なのは、これらの行為を「業として」、つまりビジネスとして反復継続して行う場合に、薬機法の規制対象となるという点です。

1. 許可・届出の要否は「扱う医療機器の種類」で決まる

販売・貸与業の規制は、全ての医療機器に一律でかかるわけではありません。リスクによるクラス分類と、特定保守が必要かどうか、といった2つの観点から、医療機器の取り扱いに規制がかかるかが決まります。

医療機器のクラス分類(クラスⅠ~Ⅳ)と販売・貸与に必要な手続き(許可・届出)の対応表
【図解】医療機器のクラス分類と販売・貸与に必要な手続き
  • 高度管理医療機器(クラスⅢ、Ⅳ)
    • 規制: 営業所ごとに都道府県知事の「許可」が必要です。
    • 具体例: 視力補正用コンタクトレンズ、人工呼吸器など。
  • 特定保守管理医療機器(クラス不問)
    • 規制: クラス分類に関わらず、営業所ごとに都道府県知事の「許可」が必要です。
    • 解説: 専門的な保守点検・修理が必要な医療機器のことです。クラスを問わずこれに該当すれば許可対象となります。
    • 具体例: X線撮影装置、心電計、パルスオキシメータなど。
  • ③ 管理医療機器(クラスⅡ)のうち、特定管理医療機器
    • 規制: 営業所ごとに都道府県への「届出」が必要です。「許可」のような審査はありません。
    • 具体例: 電子体温計、電子血圧計、家庭用電気治療器など。
    • ※特定管理医療機器とは、「専ら家庭において使用される管理医療機器であつて厚生労働大臣の指定するもの以外の管理医療機器」のことです(薬機法施行規則第175条第1項)。この文章は「以外の管理医療機器」の前で分けられます(専ら家庭において使用される管理医療機器であつて厚生労働大臣の指定するもの/以外の管理医療機器)。。
  • 指定を受けた家庭用管理医療機器(これは通称)=専ら家庭において使用される管理医療機器であつて厚生労働大臣の指定するもの(こちらが正式名称)
    • 規制: 販売・貸与に関する許可や届出は不要です。
    • 一般的名称リスト(31個)[2][3] 義歯床安定用糊材、粘着型義歯床安定用糊材、密着型義歯床安定用糊材、家庭用電気マッサージ器、家庭用エアマッサージ器、家庭用吸引マッサージ器、針付バイブレータ、家庭用温熱式指圧代用器、家庭用ローラー式指圧代用器、家庭用エア式指圧代用器、家庭用超音波気泡浴装置、家庭用気泡浴装置、家庭用過流浴装置、家庭用水中マッサージ療法向け浴槽、家庭用電気磁気治療器、家庭用永久磁石磁気治療器、温灸器、家庭用超音波吸入器、家庭用電動式吸入器、家庭用電熱式吸入器、貯槽式電解水生成器、連続式電解水生成器、家庭用創傷パッド、家庭向け鍼用器具、膣洗浄器、避妊用ミクロコンドーム、家庭用マッサージ器用プログラム、針付バイブレータ用プログラム、家庭用心電計プログラム、家庭用心拍数モニタプログラム、家庭用眼瞼用温熱パック
  • ④ 一般医療機器(クラスⅠ)
    • 規制: 原則として、販売・貸与に関する許可や届出は不要です。

2. 許可・届出の鍵を握る「営業所管理者」の設置

販売業・貸与業の手続きにおいて、最も重要かつ準備に時間がかかるのが「営業所管理者」の確保です。管理者は、営業所ごとに常勤で1名設置しなければならず、扱う医療機器のリスクに応じて求められる要件(学歴・資格・実務経験)が細かく定められています(法第39条の2第1項、施行規則第175条前段)。

2-1. 管理者の資格要件(クラス別・品目別)

取り扱う医療機器の分類ごとに、主要な要件を整理しました。[1]

なお、「厚生労働大臣が前号に掲げる者と同等以上の知識経験を有する者に該当する者」とは以下を指します。

  • イ)医師、歯科医師、薬剤師の資格を有する者
  • ロ)医療機器の第1種製造販売業の総括製造販売管理者の資格を有するもの
  • ハ)医療機器製造業の責任技術者の資格を有するもの
  • ニ)医療機器の修理業の責任技術者の資格を有するもの
  • ホ)薬種商販売業許可を受けた店舗における当該店舗に係る許可申請者(申請者が個人の場合に限る。)若しくは当該店舗に係る適格者(薬事法施行令第6条に定める基準に該当するか、又は薬事法第28条第2項に規定する試験に合格したことによって当該店舗においてその者が属する法人に薬種商販売業の許可が与えられた者。)
  • ヘ)財団法人医療機器センター及び日本医科器械商工団体連合会が共催で実施した医療機器販売適正事業所認定制度「販売管理責任者講習」を修了した者

高度管理医療機器(クラス3、4)及び特定保守管理医療機器(全クラス)

取り扱う医療機器の分類販売業手続き、営業所管理者の設置営業所管理者の資格要件継続的講習
(コンタクトレンズ及びプログラム高度管理医療機器以外の)高度管理医療機器及び特定保守管理医療機器販売業許可と管理者の設置が必須高度管理医療機器、特定保守管理医療機器の販売等に関する業務(コンタクトレンズ、プログラム高度管理医療機器のみの販売等を行う業務は除く)に3年以上従事した後、「基礎講習」を修了した者、又は、厚生労働大臣がそれと同等以上の知識及び経験を有すると認めた者必要
コンタクトレンズのみ販売業許可と管理者の設置が必須高度管理医療機器、特定保守管理医療機器の販売等に関する業務(プログラム高度管理医療機器のみの販売等を行う業務は除く)1年以上従事した後、「基礎講習」を修了した者、又は、厚生労働大臣がそれと同等以上の知識及び経験を有すると認めた者必要
プログラム高度管理医療機器のみ販売業許可と管理者の設置が必須従事経験不問で「基礎講習」を修了した者、又は、厚生労働大臣がそれと同等以上の知識及び経験を有すると認めた者必要
表におけるコンタクトレンズは、「再使用可能な視力補正用色付コンタクトレンズ」、「再使用可能な視力補正用コンタクトレンズ」、「単回使用視力補正用コンタクトレンズ」、「単回使用視力補正用色付コンタクトレンズ」、「再使用可能な非視力補正用色付コンタクトレンズ」、「単回使用非視力補正用色付コンタクトレンズ」をいいます。

管理医療機器(クラス2)のうち、特定管理医療機器

取り扱う医療機器の分類販売業手続き、管理者の設置管理者の資格要件継続的講習
医療機関向け管理医療機器販売業届出と管理者の設置が必須高度管理医療機器、特定保守管理医療機器の販売等に関する業務1年以上従事した後、「基礎講習」を修了した者、又は、特定管理医療機器の販売等に関する業務(補聴器、家庭用電気治療器、プログラム特定管理医療機器は除く)3年以上従事した後、「基礎講習」を修了した者、又は、厚生労働大臣がそれらと同等以上の知識及び経験を有すると認めた者。そして当面の間はコンタクトレンズのみの販売に従事した経験が1年以上である者でも実務講習を修了すれば可とされています。必要
補聴器のみ販売業届出と管理者の設置が必須特定管理医療機器の販売等に関する業務(家庭用電気治療器、プログラム特定管理医療機器は除く)1年以上従事した後、「基礎講習」を修了した者、又は、厚生労働大臣がそれと同等以上の知識及び経験を有すると認めた者。そして当面の間はコンタクトレンズのみの販売に従事した経験が1年以上である者でも実務講習を修了すれば可とされています。必要
家庭用電気治療器のみ販売業届出と管理者の設置が必須特定管理医療機器の販売等に関する業務(補聴器、プログラム特定管理医療機器は除く)1年以上従事した後、「基礎講習」を修了した者、又は、厚生労働大臣がそれと同等以上の知識及び経験を有すると認めた者。そして当面の間はコンタクトレンズのみの販売に従事した経験が1年以上である者でも実務講習を修了すれば可とされています。必要
プログラム特定管理医療機器のみ販売業届出と管理者の設置が必須従事経験不問で「基礎講習」を修了した者、又は、厚生労働大臣がそれと同等以上の知識及び経験を有すると認めた者

管理医療機器(クラス2)のうち家庭用管理医療機器及び一般医療機器(クラス1)

取り扱う医療機器の分類販売業手続き、管理者の設置管理者の資格要件継続的講習
管理医療機器(クラス2)のうち家庭用管理医療機器販売業の手続きも管理者の設置も不要なし必要
一般医療機器(クラス1)販売業の手続きも管理者の設置も不要なし必要

ここがポイント! コンタクトレンズ、補聴器、家庭用電気治療器などは、それぞれ個別の講習や要件が設定されています 。自社が扱う具体的な製品名(一般的名称)をもとに、どの要件が適用されるかを事前に確認することが、許可取得までの最短ルートです。

このように、扱う医療機器のリスクに応じて、求められる実務経験や受講すべき講習の種類(基礎講習か専門講習か)が異なる点を押さえておくことが重要です。

2-2. 「名義貸し」の禁止と実態のある管理

「資格を持つ知人の名前だけを借りる」といった、いわゆる名義貸しは薬機法違反です。管理者は、その営業所に常勤し、実質的に品質管理や従業員の監督を行う義務があります。 もし管理者が不在の状態で営業を続けた場合、業務停止命令や許可の取消しといった重い行政処分の対象となるだけでなく、企業の社会的信用を大きく損なうリスクがあります。

2-3. スタートアップが直面する「採用」と「育成」の課題

新規参入する企業にとって、実務経験3年以上の人材を確保するのは容易ではありません。

  • 解決策1: 薬剤師等の有資格者を雇用する
  • 解決策2: プログラム医療機器(SaMD)に特化し、社内人材に講習を受けさせる
  • 解決策3: 将来のハードウェア展開を見据え、初期段階から実務経験を積ませる体制を作る

3. 許可取得後に求められる主な遵守事項

3-1. 3つの重要な遵守事項

許可を取得したり、届出を済ませたりしたら終わりではありません。事業を継続していくためには、薬機法で定められたルール(遵守事項)を守る義務があります。ここでは、特に重要な3つのポイントを解説します。

  • ① 記録の作成と保管 医療機器を誰から仕入れ(譲受)、誰に販売・貸与したか(譲渡)を、品名や数量、製造番号、年月日などと共に正確に記録し、一定期間保管することが義務付けられています。これは、万が一製品に問題が発生した際に、迅速に追跡できるようにするためです。
  • ② 従業員への研修 営業所の管理者は、その営業所の従業員に対して、医療機器の販売・貸与に関する業務についての研修を計画的に実施する必要があります。
  • ③ 営業所管理者の意見の尊重 許可取得者(開設者)は、営業所の管理者が業務を遂行するために必要があると認めて述べる意見を尊重しなければなりません。品質確保や法令遵守のために、管理者が専門的な知見から述べた意見は、適切に事業運営に反映させる必要があります。

3-2. 医療機器販売・貸与業の遵守事項

その他のルールも含め、ざっと表にまとめたのがこちらです[5]。
見ていただくと分かる通り、手続きの不要なクラスⅠにも遵守事項が定められています。すべての医療機器の流通に関わる事業者はみな、医療機器の流通を担う者として遵守事項があることを忘れてはなりません。

遵守事項とその根拠高度管理医療機器(クラスⅢ、Ⅳ)特定管理医療機器(クラスⅡ)家庭用管理医療機器(クラスⅡ)一般医療機器(クラス1)
管理者の設置(法第39条の2,規則第175条)義務義務
管理者の意見の尊重(規則第172,178条)義務義務
管理者の継続的研修(規則第168,175条第2項)義務努力義務
管理に関する帳簿(6年保存)(規則第164,178条)義務義務義務義務
譲受譲渡に関する記録(規則第173,175,178条)義務努力義務努力義務努力義務
品質の確保(規則第165,178条)義務義務義務義務
苦情処理(規則第166,178条)義務義務義務義務
回収(規則第167,178条)義務義務義務義務
教育訓練(規則第169,178条)義務義務義務義務
中古品販売時の通知等(規則第170,178条)義務義務義務義務
製造販売業者への不具合等の報告 (規則第171,178条)義務義務義務義務
情報の提供等(法第68条の2)努力義務努力義務努力義務努力義務
危害の防止(法第68条の9)努力義務努力義務努力義務努力義務
許可証の掲示(規則第3条、規則第178条)義務
東京都福祉保健局Webページ「医療機器販売業、貸与業について」の記載に一部弊所で編集を加えたものです。
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許可取得後の更新や変更手続きについては、『【医療機器ポイント解説】許可取得すれば安泰、じゃない!業許可の「更新」と「変更届」』をご覧ください。

4. ケース別!私のビジネスに必要な手続きは?

自社のビジネスモデルを、具体的なケースに当てはめてチェックしてみましょう。

  • ケースA:カラコンを販売するネットショップを開設したい
    • →「高度管理医療機器販売業・貸与業許可」が必要です。
    • カラコンはクラスⅢの高度管理医療機器です。ネットショップであっても、主たる事務所に管理者を設置し、許可を取得する必要があります。
  • ケースB:薬局で電子体温計や血圧計の販売を始めたい
    • →「管理医療機器販売業・貸与業届出」が必要です。
    • これらは特定保守管理医療機器に該当しない管理医療機器(クラスⅡ)のため、届出となります。
  • ケースC:介護用品のレンタル事業で、特殊寝台(電動ベッド)を扱いたい
    • →「特定保守管理医療機器販売業・貸与業許可」が必要です。
    • 特殊寝台は、医療機器の分類で言うとクラスⅠであるものの、特定保守管理医療機器に指定されているため、販売、貸与に許可が必要となります。

まとめ:まずは扱う製品の「分類」の確認から

医療機器の販売・貸与ビジネスを始める第一歩は、自社が扱いたい製品が「高度管理医療機器」や「特定保守管理医療機器」に該当するかどうかを正確に確認することです。その上で、営業所ごとに適切な管理者を確保し、必要な許可申請や届出を行いましょう。

自社で扱う製品に必要な手続きがご不明な場合や、営業所の管理者の要件について、お気軽にご相談ください。

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参考資料・参照URL

  1. 厚生労働省.“医療機器の営業所の管理者が満たすべき従事経験について(平成27年4月10日薬食機参発0410第1号別紙)”.厚生労働省.2015-04-10.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0918&dataType=1&pageNo=1,(参照 2026-04-03).
  2. 厚生労働省.“医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第百七十五条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する管理医療機器(平成18年2月28日厚生労働省告示第68号)”.厚生労働省.2006-02-28.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81aa7810&dataType=0&pageNo=1,(参照 2026-04-03).
  3. 厚生労働省.“医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第五項から第七項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器(平成16年7月20日厚生労働省告示第298号)”.厚生労働省.2006-02-28.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81aa6500&dataType=0&pageNo=1,(参照 2026-04-03).
  4. 厚生労働省.“薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律等の施行に関する医療機器の販売業及び賃貸業に係る運用等について(平成16年7月9日薬食機発第 0709001 号)”.厚生労働省.2004-07-09.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2931&dataType=1&pageNo=1,(参照 2026-04-03).
  5. 東京都保健医療局.“4 販売業者・貸与業者の遵守事項”.東京都保健医療局.2023-06-30.https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/anzen/iyaku/sonota/sale_leas/sonsyujikou,(参照 2025-11-26).

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