化粧品ビジネスの立ち上げ、ぶっちゃけいくらかかる?

行政書士の大串です。

新たに化粧品ビジネスを立ち上げたい、あるいは海外から素敵なコスメを輸入して販売したい、そう考えたときに避けて通れないのが「許認可」の壁です。

「許可を取るのに、結局いくらお金を用意しておけばいいの?」

これは、私がお客様から最も頻繁にいただく質問の一つです。 インターネットで検索すれば、申請手数料や代行費用の相場はすぐに出てきます。しかし、実際にビジネスをスタートさせるまでにかかる「本当のコスト」は、それだけではありません。

今回は、化粧品ビジネスの立ち上げにかかるお金の話を、私の経験に基づいて少し深掘りして解説します。

結論:目安としてはこれくらいかかります

詳細な解説に入る前に、時間がない方のためにざっくりとした結論(目安)を先にお伝えします。

  • 場所(家賃20万/月)を借りて法人成りからスタートする場合
    • イニシャルコスト:200万円超(製造販売業のみの場合。機器や場所の縛りが出てくればもっと。)
    • ランニングコスト:約70万円/月(家賃20万と人一人の人件費40万+α)
    • ※製造・検査にかかる設備は考慮しない場合です。内容物(バルク)の製造も行う場合は、ケースごとに設備投資が別途必要になります。
  • 既に要件を満たす場所がある場合
    • 資格者の雇用にかかる費用や申請実費だけで済む場合もあります。
化粧品製造販売業の立ち上げコスト試算イラスト。計算機には「¥2,000,000~」と大きく表示され、想定以上の金額に驚く起業家と、内訳(オフィス賃料・人件費・設備投資)を冷静に解説する行政書士の様子。許可申請手数料だけではないトータルコストの視覚化。
【衝撃の事実】「許可を取るだけ」では済みません。総括製造販売責任者の人件費・事務所家賃・法定費用を含めると、最低でも200万円の初期投資がスタートラインとなります。

「えっ、そんなにかかるの?」と思われた方、あるいは「意外と安いな」と思われた方、どちらもおいでかと思います。
正直、設備投資等でもっと掛かる場合もありますし、意外に手持ちのカードで結構まかなえるから費用感なかった、というパターンもあります。

ですのでこの備忘録はあくまで標準パターン。これから事業計画を立てる方の、現実的な予算組みのヒントになれば幸いです。

※本記事は、私の実務経験に基づく個人的な見解ばかりです。

1. 場所・設備にかかる費用

・製造販売業の許可が必要な場合

この場合、一般的な事務所があれば、許可取得に問題はないとされることが多いです。

以下の条件で想定すると、イニシャルコストは概ね200万程度。ランニングコストは家賃✕1.5+5万見ておくという感じでしょうか。

  • 家賃20~25万円
  • 敷金6ヶ月
  • 礼金・仲介手数料・前家賃各1ヶ月
  • 火災保険2万/年
  • 一般的な事務設備費用で30万くらい(PC10万、プリンタ5万、残り15万で他)
  • 水道光熱費1万円/月

・製造業(包装等区分)の許可が必要な場合

製造工程のうち、包装・表示・保管のみを行う場合は、製造区分「包装等区分」の許可を持つ必要があります。
化粧品を輸入して販売したいと考えてらっしゃる企業さんは、これと製造販売業許可をセットで取得されるケースが多いですね。
この製造所には、構造設備が「薬局等構造設備規則」の第13条の2で準用される第10条の規定に適合することが求められます。

(包装等区分の医薬品製造業者等の製造所の構造設備)※「医薬品製造業者等」を「製造業者」に書き換え済
第十条 施行規則第二十五条第一項第五号の区分及び施行規則第三十五条第一項第五号の区分の製造業者の製造所の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一 製品等及び資材を衛生的かつ安全に保管するために必要な構造及び設備を有すること。
二 作業を適切に行うのに支障のない面積を有すること。
三 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であつて、支障ないと認められるときは、この限りでない。薬局等構造設備規則(昭和三十六年厚生省令第二号)施行日: 令和三年八月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=336M50000100002_20210801_503M60000100015

この区分では、試験検査を外注する場合であれば、一般的な事務所内でも許可されるケースは多いです(一及び二で求められているスペースの確保は必要)。
もちろん許可権者は都道府県なので、事前に確認することはマストです。

・製造業(一般区分)の許可が必要な場合

製造工程の全部又は一部を行う場合は、製造区分「一般区分」の許可を持つ必要があります。
この製造所には、構造設備が「薬局等構造設備規則」の第13条に適合することが求められます。

(一般区分の化粧品製造業者の製造所の構造設備)
第十三条 施行規則第二十五条第三項第一号の区分の製造業者の製造所の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一 当該製造所の製品を製造するのに必要な設備及び器具を備えていること。
二 作業所は、次に定めるところに適合するものであること。
イ 換気が適切であり、かつ、清潔であること。
ロ 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること。
ハ 作業を行うのに支障のない面積を有すること。
ニ 防じん、防虫及び防そのための構造又は設備を有すること。
ホ 床は、板張り、コンクリート又はこれらに準ずるものであること。
ヘ 廃水及び廃棄物の処理に要する設備又は器具を備えていること。
三 製品、原料及び資材を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。
四 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であつて、支障がないと認められるときは、この限りでない。薬局等構造設備規則(昭和三十六年厚生省令第二号)施行日: 令和三年八月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=336M50000100002_20210801_503M60000100015

許可権者は都道府県です。
完成してからダメとなるとダメージが大きいので、この区分の許可を取得するつもりなら、図面段階で相談することを強くお勧めします。
居抜きの施設をそのまま使う場合であっても、アップデートが必要な場合もありますので、許可申請前の相談をお勧めします。

2. 人の雇用にかかる費用

製造販売業ではいわゆる三役(総括製造販売責任者、品質保証責任者、安全管理責任者)を、製造業では責任技術者を常勤で雇用することが求められます。

この三役+一役は、兼任が認められるケースもあります。(許可権者は都道府県なので、学歴等を把握した上で事前の都道府県への問い合わせを強くお勧めします。)

お一人雇用で考えると、下記の条件で概ね42万円/月という感じでしょうか。転職エージェント等を使う場合はその分イニシャルコストとしてかかってきます。

  • 支給額30万円/月
  • ボーナス2ヶ月分/年
  • 通勤手当2万円/月
  • 社会保険料55万/年
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3. 会社設立にかかる費用

資本金1円でも株式会社設立できるようになりましたが、会社設立には以下のような費用がかかるので、株式会社では20万合同会社では7万円は最低見込んでおく必要があります。

  • 印鑑作成
  • 定款認証費用(最低でも3万円、合同会社なら不要)
  • 登録免許税(株式会社では最低でも15万円、合同会社なら最低でも6万円)
  • 紙定款の場合収入印紙代4万円、電子定款の場合には0円だが専用ソフトウェアの準備が必要

上記に加え、司法書士や行政書士に依頼した場合には、依頼費用もかかります。

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4. 許可取得にかかる費用

化粧品やるなら、絶対に発生するのが、役所に支払う申請手数料です。これを払わないと審査すらしてもらえません。金額は自治体によって異なりますが、東京都を例に挙げると以下のとおりです(2025年時点)。

  • 製造販売業:57,400円
  • 製造業(包装等):32,800円
  • 製造業(一般):39,000円

これはご自身で申請しても、誰に頼んでも変わらない固定費です。

5.専門家に頼む場合の「報酬」にかかる費用とその考え方

次に、我々のような行政書士に手続きを依頼する場合の費用です。 これも事務所によって千差万別ですが、相場としては以下のレンジが多いようです。

  • 製造販売業許可 + 製造業許可のセット:20万円台〜80万円台

「ずいぶん幅があるな」と思われたかもしれません。 でも多くの場合、この価格差には理由があります。

なぜ安いのか?を考えよう

安い理由としては、「単に価格に無頓着」というのもなきにしもあらずですが(私も独立当初そういうフシはありました…)、経験の少ない先生が実績を積むために案件取りたくて安価にしている場合はあります。後はサービスの内容を削っていることも。この場合、ひな形(テンプレート)を渡されて「あとは自分で埋めてくださいね」というスタイルだったり、書類作成のみで役所との折衝はご自身で行う必要があったりと想定外の手間が発生することがあります。

「安いから頼んだのに、結局混乱の中自分でやることが多くて大変だった」「許可はなんとか取ってもらったけど、それでおしまい。自社の担当者は何をすればいいのか全くわからない」という声もたまに耳にします。依頼する際は、金額だけでなく「どこまでおまかせできるのか」「許可を維持するという視点があるサービス提供なのか」を確認することをお勧めします。

お高めの理由を考えよう

逆に、相応の価格設定がされている場合は、経験により必要な業務全体が見えているから、という可能性も考えていただきたいです。
手順書(GQP・GVP)のカスタマイズ作成、役所との事前相談、現地調査の立ち会いといった、「あ、こんな業務発生するんだ」というところまでフルサポートで含まれていることが多いように思います。

経験豊富な先生の場合には、予算に応じて業務アレンジができる事が多いですので、お見積りが予算を超過しちゃった場合にはぜひご相談をおすすめします。この場合は「自分たちが動く必要があることもあるけれど、想定外ではないから問題なし。安心して業務完了まで走り抜けられた」というパターンになることもありますね。

「時間」は最大のコストである

私が個人的に最も強調したいのが、この「時間のコスト」です。

「専門家に頼むと高いから、自分で勉強して申請します」というチャレンジ精神は素晴らしいです。実際ご自分でできますしね。しかし、ここで少し考えていただきたいのです。

慣れない専門用語や法律(薬機法)を読み解き、膨大な書類を作成し、何度も役所に足を運んで修正を重ねる……。これに費やす時間は、数十時間、あるいは百時間を超えるかもしれません。この時間をあなたの得意とする分野に使ったら、どんな成長が見込まれるでしょうか。

もし、ご自身で申請を進めるにしても、初めてのことですから当然試行錯誤で時間がかかるわけで、結果として許可が下りるのが予定より3ヶ月遅れたとしましょう。 その3ヶ月間、ビジネスは動きませんが、家賃や責任者への給与などの固定費は出ていきます。

  • ランニングコスト70万円/月 ✕3ヶ月=約210万円

これだけで210万円のコスト増です。さらに、その期間に商品を販売できていれば得られたはずの利益(機会損失)も考えなければなりません。

「自分でやればタダ(無料)」に見えますが、実は「時間」という見えないコストがかかっており、それが結果としてキャッシュフローを圧迫するリスクがあるのです。

まとめ:トータルコストで判断を

化粧品ビジネスの立ち上げには、目に見える費用だけでなく、時間軸を含めたトータルなコスト感覚が必要です。

  • 人件費・家賃などの固定費
  • 法定費用
  • 専門家への報酬(内容による)
  • 許可取得までのスピード(機会損失・固定費の抑制)

これらを総合的に判断した上で、ご自身のリソースをどこに集中させるかを決めるのが、賢い経営判断と言えるのではないでしょうか。

もし、「自分の場合はトータルでいくらかかりそうか知りたい」「最短で許可を取りたい」とお考えでしたら、一度弊所までご相談ください。 現状を整理し、スムーズなビジネスの立ち上げをサポート申し上げます。

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