「海外化粧品を輸入して売りたい!」実務ガイド:ステップ4 | 販売開始のための届出実務

輸入化粧品の実務ガイド基礎知識編から始まったロードマップも、いよいよ最終工程です。

ステップ1:成分チェックを終え、ステップ2:海外メーカーとの交渉も無事に完了。そしてステップ3:製造販売業の許可取得が済んだ(あるいは目処が立った)あなたに、最後に立ちはだかるのが「届出」の壁です。

2026年現在、オンライン化と窓口申請が混在する中で、迷わず最短で販売開始へ漕ぎ着けるための実務を解説します。

1. 届出前の「事前準備」:海外メーカーの登録(PMDA)

 製品ごとの届出を出す前に、済ませておかなければならない「業者登録」の手続きがあります。これを行わないと、届出書に記載する「メーカー(工場)のコード」が発行されません。

  • 提出先: 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA
  • 必要な手続き:
    • 外国製造業者届: 海外工場の名称・住所などを登録します。
    • 外国製造販売業者届: 海外の製造販売元を登録します(※形態により不要な場合もあります)。
  • 実務のポイント: これらは都道府県ではなく「国(PMDA)」の管轄です。登録完了までに数週間〜1ヶ月程度かかることもあるため、ステップ3の許可取得と並行して進めておくのが、リードタイムを短縮するコツです。

2. 輸入販売直前に必要な「製品の届出」

 メーカー登録が完了し「業者コード」を入手したら、いよいよ製品ごとの手続きです。

  1. 化粧品製造販売届: 「この製品を私が責任を持って日本で売ります」という宣言。製品名ごとに、所在地の都道府県知事に対して提出します。

💡 実務の知識:輸入届の廃止について かつて存在した「化粧品輸入届」は、2016年(平成28年)1月1日をもって廃止されました。現在は、上記の「製造販売届」の控え等を通関時に提示する運用となっています。

3. 申請方法の現状:オンラインと「窓口FD申請」の使い分け

 行政手続きのデジタル化により、インターネット経由の「オンライン提出」も選べます。しかし、実務の最前線では、今なお「窓口でのFD申請(CD-R等の持参)」が最強の選択肢として選ばれています。

なぜ「窓口でのFD申請」が選ばれるのか?

  • 補正への即時対応: オンライン申請では修正指示がメール等で届くためタイムラグが発生しますが、窓口なら軽微なミスはその場で指摘・訂正でき、その日のうちに受理されます。
  • 「受領印」という物理的エビデンス: 受付印が押された紙の控え(正本)は、取引先への証明やファイリングにおいて、依然として高い信頼性と利便性があります。

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4. 実務でハマりやすい「販売名」の付け方と戦略

 ステップ4で最も多いミスが、「販売名」の不備です。受理されるためには、東京都健康安全研究センターの「化粧品の販売名について」等の指針に沿った命名が必要です。

  • 他社製品と紛らわしい名称: 有名ブランドに酷似しているもの。
  • 医薬品的な効果を連想させる: 「アトピー」「ニキビ専用」「メディカル」など。
  • 誇大・不当な表現: 「最高」「世界一」「アンチエイジング(※対面販売等を除き原則不可)」など。
  • シリーズ展開: 色違いや香り違いは「シリーズ名 + 色番号」といったルールで整理することもできます。

💡 実務のアドバイス:販売名の戦略と事前相談

① 窓口から非対面相談へのシフト 以前は届出提出時の窓口で、担当者とその場で協議することも多かった販売名ですが、現在はルールが変わりつつあります。例えば東京都のように、窓口での対面相談以外の形式を推奨する自治体も増えています。判断が難しいラインの名称については、差し戻しを防ぐためにも十分なリードタイムを確保し、事前に管轄窓口へ相談しておくのが、スムーズな受理への近道です。

② 長期ビジネスを見据えた「安全圏」での勝負 申請当時は受理された「攻めた名称」でも、数年後にシリーズ品を追加しようとした際、規制が厳格化していてネーミングが繋がらなくなるケースがあります。ブランドを長く育てるなら、最初から安全圏の名称を選択するのも賢い経営戦略です。

5. ステップ1・2の「蓄積」がここで活きる

 届出データ自体に成分情報は入りませんが、ステップ1・2のデータは以下の実務の核となります。

  • 法定表示の作成: ステップ1で特定した「表示名称」は、パッケージの全成分表示のベースになります。
  • 製品標準書の整備: ステップ2で入手した成分表やTDSは、法的に義務付けられている「製品標準書」の作成に不可欠です。

 情報の裏付けが曖昧なまま販売し、後の収去検査(抜き打ち検査)等で不一致が発覚すると、販売停止・全品回収という大きな損害を招きます。

6. 届出控えと「通関」の連携

 「化粧品製造販売届」の控え(受付印のある正本等)と「化粧品製造販売業許可証」の写しを税関(通関業者)に提示することで、輸入化粧品の実務ガイド基礎知識編で解説した「関税法第70条(他法令の証明)」をクリアできます。これらが、荷物を引き取るための「鍵」となります。

まとめ:正しい手続きが「ブランドの未来」を作る

 全4回にわたるロードマップ、いかがでしたでしょうか。

  1. 通関に必要となる情報を知り(基礎知識編)
  2. 成分を調べ(ステップ1)
  3. メーカーと交渉し(ステップ2)
  4. 許可を取り(ステップ3)
  5. 適切に届け出る(ステップ4)←この記事です

 この一連の工程を一つずつクリアしていくプロセスこそが、あなたの扱う海外コスメを「日本の正規品」として輝かせるための唯一の道です。

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