医療資格者の業務範囲を整理してみる (6)診療放射線技師

さて今回は、臨床放射線技師について。
他の職種ページへの移動は、本シリーズの「0(前提)」ページにリンクを置いてありますのでそちらから。

(6)診療放射線技師RT(放射線照射)

身分の根拠法

診療放射線技師はRT(Radiologic technologist)と呼ばれることもあります。
その身分の根拠法は診療放射線技師法です。

第二条 (第1項略)
2 この法律で「診療放射線技師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線の人体に対する照射(撮影を含み、照射機器を人体内に挿入して行うものを除く。以下同じ。)をすることを業とする者をいう。

診療放射線技師法(昭和二十六年法律第二百二十六号)施行日: 令和三年十月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0100000226

この赤太字部(弊事務所追加)が、診療放射線技師の資格職としての業です。

業務

まずは図で大枠を見ましょう。

本シリーズの「0(前提)」で紹介した厚労省作成の図を簡略化し、いくつかの要素を追加した上で、診療放射線技師の業務範囲等を書き込んだ図を作成しました。

診療放射線技師の業務範囲
  • 診療放射線技師は、①業務独占として人体への放射線照射を、②診療の補助として専門業務を、そして③その他診療の補助に当たらない業務(保健指導含む)を行うことができます。

①業務独占:放射線の照射

業務独占の根拠条文は診療放射線技師法第24条。

第二十四条 医師、歯科医師又は診療放射線技師でなければ、第二条第二項に規定する業をしてはならない。

診療放射線技師法(昭和二十六年法律第二百二十六号)施行日: 令和三年十月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0100000226

これにより、診療放射線技師が、医師及び歯科医師とともに「第二条第二項に規定する業」を業務独占することが定められています。
※ここでいう「第二条第二項に規定する業」は、本ページの上の方で引用している中で赤太字にしてる部分です。長いので本シリーズでは「人体への放射線照射」と書かせていただくことが多いと思います。

②診療放射線技師による診療の補助

すでに本シリーズの(5)看護師、准看護師のページでも述べている通り、「診療の補助」は看護師の業務独占ですが、
診療放射線技師には「診療の補助」として業とすることが可能と定められている業務(下引用の青太字部(弊事務所追加))があります。

第二十四条の二 診療放射線技師は、第二条第二項に規定する業務のほか、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として、次に掲げる行為を行うことを業とすることができる。
一 磁気共鳴画像診断装置、超音波診断装置その他の画像による診断を行うための装置であつて政令で定めるものを用いた検査(医師又は歯科医師の指示の下に行うものに限る。)を行うこと。
二 第二条第二項に規定する業務又は前号に規定する検査に関連する行為として厚生労働省令で定めるもの(医師又は歯科医師の具体的な指示を受けて行うものに限る。)を行うこと。

診療放射線技師法(昭和二十六年法律第二百二十六号)施行日: 令和三年十月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0100000226

診療の補助に関しては、下記のように理解しています。

  1. 医行為を業とすることは医師の業務独占(根拠は医師法)
    • ※本シリーズの「(1)医師」ページ参照
  2. 医行為の一部を「診療の補助」として、保助看法により看護師に限定解除(主治の医師又は歯科医師の指示が必須)
  3. その「診療の補助」のうち一部の各専門業務を、各専門資格保持者に限定解除している(根拠は個別法)。
    • 診療放射線技師の場合は、以下の2つの行為を業とすることができる。
      1. 医師又は歯科医師の指示の下に行う行為(=「政令」で定める装置を用いた検査)
      2. 医師又は歯科医師の具体的な指示を受けて行う行為(=「厚生労働省令」で定める検査関連行為)
★政令→施行令

さて、法第24条第1項にある「政令」とは何を指すのか見ていきましょう。
これはずばり「診療放射線技師法施行令」です。

(画像診断装置)
第十七条 法第二十四条の二第一号の政令で定める装置は、次に掲げる装置とする。
一 磁気共鳴画像診断装置
二 超音波診断装置
三 眼底写真撮影装置(散瞳薬を投与した者の眼底を撮影するためのものを除く。)
四 核医学診断装置

診療放射線技師法施行令(昭和二十八年政令第三百八十五号)施行日: 令和四年五月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=328CO0000000385
★厚生労働省令→施行規則

続いて、法第24条第2項にある「厚生労働省令で定めるもの」が何なのかを見ていきましょう。
これは、診療放射線技師法施行規則の第15条の2及び3に示されています。

(法第二十四条の二第二号の厚生労働省令で定める行為)
第十五条の二 法第二十四条の二第二号の厚生労働省令で定める行為は、次に掲げるものとする。
一 静脈路に造影剤注入装置を接続する行為、造影剤を投与するために当該造影剤注入装置を操作する行為並びに当該造影剤の投与が終了した後に抜針及び止血を行う行為
二 動脈路に造影剤注入装置を接続する行為(動脈路確保のためのものを除く。)及び造影剤を投与するために当該造影剤注入装置を操作する行為
三 核医学検査のために静脈路に放射性医薬品を投与するための装置を接続する行為、当該放射性医薬品を投与するために当該装置を操作する行為並びに当該放射性医薬品の投与が終了した後に抜針及び止血を行う行為
四 下部消化管検査のために肛門にカテーテルを挿入する行為、当該カテーテルから造影剤及び空気を注入する行為並びに当該カテーテルから造影剤及び空気を吸引する行為
五 画像誘導放射線治療のために肛門にカテーテルを挿入する行為及び当該カテーテルから空気を吸引する行為
六 上部消化管検査のために鼻腔に挿入されたカテーテルから造影剤を注入する行為及び当該造影剤の注入が終了した後に当該カテーテルを抜去する行為
(法第二十六条第二項第二号の厚生労働省令で定める検査)
第十五条の三
 法第二十六条第二項第二号の厚生労働省令で定める検査は、胸部エックス線検査(コンピュータ断層撮影装置を用いたものを除く。)及びマンモグラフィー検査とする。

診療放射線技師法施行規則(昭和二十六年厚生省令第三十三号)施行日: 令和三年十月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326M50000100033

③その他の業務

可能な医療関連行為をひとつひとつ挙げていたらきりがありませんが、とりあえず保健師の業務独占と考えられがちな保健指導だけ。

保健指導は、保健師その他の独占業務ではないため、その他職種も行うことができます。
もうちょっと詳しくは、当シリーズの「(3) 保健師」のところを参照。

その他、医療従事者間の具体的な業務分担については、厚労省の役割分担通知を本シリーズの「0(前提)」ページでかるーく紹介していますが、現在進行系でタスクシフト・タスクシェアが進んでますので最新の状況は都度要確認です。

名称独占

診療放射線技師法第25条に名称独占の定めがあります。

第二十五条 診療放射線技師でなければ、診療放射線技師という名称又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

診療放射線技師法(昭和二十六年法律第二百二十六号)施行日: 令和三年十月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0100000226

次は、(7)イ.理学療法士PT・ウ.作業療法士OTをまとめて書きます。

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