【医療機器ポイント解説】製品を市場へ!承認・認証・届出 ロードマップ

はじめに

「製造販売業許可」を取得すれば、すぐにでも製品を販売できる…そう考えてはいないでしょうか。実は、製造販売業許可はあくまで「事業を行う資格」であり、個別の製品を市場に出すためには、その製品ごとに「承認」「認証」「届出」のいずれかの手続きをクリアする必要があります。

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本記事では、この3つのルートの違いと、それぞれの大まかな道のりをロードマップとして解説します。

1. 3つのルート「承認」「認証」「届出」の違い

どのルートを辿るかは、製品のリスク、つまりクラス分類によって決まります。

  • ① 届出(クラスⅠ) 最もリスクの低い一般医療機器が対象。PMDAへの届出で手続きが完了します。
  • ② 認証(主にクラスⅡ) リスクが比較的低い管理医療機器が対象。国が登録した民間の第三者認証機関による審査を受け、認証を取得します。
  • ③ 承認(主にクラスⅢ、Ⅳ) リスクの高い高度管理医療機器が対象。厚生労働省大臣に申請し、PMDAによる最も厳格な審査を受け、承認を取得します。

なお、いずれの手続きも、製品のクラス分類に応じた製造販売業者のみが行えること前提です。

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2.【クラスⅠ】届出のロードマップ - スピーディーな市場投入

  • 手続きの概要: PMDAに対して「医療機器製造販売届書」を提出します。行政による審査はなく、届出が受理されれば市場投入が可能です。
  • ポイント: 手続きは簡素ですが、製品の品質や安全性を担保する責任は製造販売業者にあります。QMS/GVP省令に基づいた管理は当然求められます。手続きの簡易さに引っ張られて管理をおろそかにするパターンの企業さんは、やっぱりおられます。弊所のお客様には「人の健康に影響を与えるヘルスケア製品を、許可業者として取り扱う」ことの責任の重みを関係者一同頭に置いてくださるようお願いしていますが。添付文書の作成など、

3.【クラスⅡ】認証のロードマップ - 第三者機関との連携

  • 手続きの概要:
    1. 登録認証機関の選定:自社製品の分野に対応できる認証機関を選びます。
    2. 申請資料(STED)の作成:製品の品質・有効性・安全性を示す技術文書(STED)を作成します。
    3. QMS適合性調査:認証機関が、製品を製造する製造所がQMS省令に適合しているかを調査します。
    4. 審査・認証取得:書類審査とQMS調査に合格すれば、認証書が発行されます。
  • ポイント: 認証機関によって審査の進め方や得意分野が異なるため、自社に合った認証機関を選ぶことが重要です、が、初めての事業者さんだと選び方もわかんないですよねー…、ご相談ください。

4.【クラスⅢ・Ⅳ】承認のロードマップ - 国との対話が鍵

  • 手続きの概要:
    1. PMDAへの相談:申請戦略や臨床試験の要否などについて、早い段階でPMDAに相談(対面助言など)します。
    2. 臨床評価(必要な場合):製品の有効性・安全性を証明するため、臨床試験などを実施します。
    3. 申請資料(STED)の作成・申請:PMDAに承認申請を行います。
    4. 審査・承認取得:PMDAによる書類審査、QMS適合性調査、GCP/GLP調査(必要な場合)などを経て、承認されます。
  • ポイント: 最も時間とコストがかかるプロセスです。PMDAとの事前の対話を通じて、審査の論点を整理し、手戻りのない計画を立てることが成功の鍵となります。

5. 特殊なケース:コンビネーション医療機器など

医薬品と一体になった「コンビネーション医療機器」や、複数の機器を組み合わせた「組合せ医療機器(キット製品)」は、さらに特殊な申請プロセスが必要となります。これらの製品を計画する場合は、より早期の専門家への相談が不可欠です。

まとめ:製品ごとに最適なルートの選択を

製品を市場に届けるまでの道のりは、一つではありません。自社の製品がどのクラスに該当し、どのルート(承認・認証・届出)を辿るべきなのかを正確に見極めることが、事業計画の第一歩です。それぞれのルートで求められる準備や期間、コストは大きく異なります。

弊所では、貴社製品の申請区分のご相談から、STED作成のサポート、PMDA相談の同席まで、製品化の道のりをトータルで支援します。ご相談ください。

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もっと体系的に知りたい方は、弊所の「ヘルスケア事業支援」ページもご覧ください。

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