【法人設立ポイント解説】設立計画から登記、事業開始までの完全ガイド #2合同会社編

【法人設立ポイント解説】設立計画から登記、事業開始までの完全ガイド #2合同会社編

はじめに:なぜ今、合同会社(LLC)が選ばれるのか?

2006年の会社法施行によって誕生した「合同会社(LLC)」。比較的新しい会社形態ですが、その設立・運営の手軽さから、個人事業主からの法人成り(法人化)、スモールビジネスのスタート、フリーランス同士の共同事業など、様々な場面で選ばれるケースが急増しています。

「コストを抑えて、スピーディーに法人格を取得したい」「経営の自由度が高い組織を作りたい」。そんなニーズに最適な合同会社について、その特徴と設立の具体的なステップを、株式会社との違いを比較しながら分かりやすく解説します。

株式会社との違いを徹底比較!合同会社の3大メリット

合同会社の魅力を理解するには、株式会社との違いを知るのが一番の近道です。特に「コスト」「運営」「意思決定」の3つの側面で大きなメリットがあります。

比較項目合同会社(LLC)株式会社
設立費用安い(約6万円~)高い(約20万円~)
定款認証不要必要(公証役場)
役員の任期なし(変更自由)あり(原則2年、最長10年)
決算公告不要必要
利益の配分自由に決められる持株比率に応じる

メリット1:設立・運営コストが圧倒的に低い

合同会社最大のメリットは、そのコストの低さです。株式会社の設立に必要な公証役場での「定款認証」が不要なため、認証手数料(約5万円)がかかりません。また、法務局へ納める登録免許税も、株式会社が最低15万円なのに対し、合同会社は最低6万円で済みます。 さらに、株式会社に義務付けられている「決算公告」や、役員任期ごとの「変更登記」も不要なため、設立後にかかるランニングコストも低く抑えることができます。

メリット2:経営の自由度が高い

合同会社の大きな特徴の一つに「定款自治」の原則が広く認められている点があります。これは、法律の範囲内であれば、会社の内部ルール(機関設計や利益の配分など)を定款でかなり自由に設計できるということです。例えば、出資額の比率に関わらず、技術や営業力で大きく貢献したメンバーに多くの利益を分配する、といった柔軟な運営が可能になります。ただし、この自由は無制限ではなく、あくまで会社法で「定款で定めても良い」とされている事項に限られる点には注意が必要です。

メリッ3:迅速な意思決定が可能

株式会社では、重要な意思決定は株主総会で行う必要がありますが、合同会社では、原則として出資者(社員)全員の同意で業務を執行します。定款で特定の社員を「業務執行社員」と定めることで、さらにスピーディーな意思決定機構を構築することもできます。

合同会社設立の具体的な4ステップ

合同会社の設立は、以下の4つのステップで進みます。株式会社に比べて手続きがシンプルなのが特徴です。

STEP1:会社の基本事項を決める

まずは、株式会社と同様に会社の骨格となる基本事項を決定します。

  • 商号(会社名)
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 資本金の額
  • 社員構成(出資者)
  • 事業年度

STEP2:定款を作成する

決まった基本事項をもとに、会社のルールブックである「定款」を作成します。合同会社は公証役場での認証は不要ですが、定款自体の作成は法律で義務付けられています。 株式会社と同様、専門家が作成する電子定款を利用すれば、紙の定款で必要となる4万円の収入印紙代が不要になります。

STEP3:出資金を払い込む

定款作成後、出資者(社員)となる人の個人口座に、定款で定めた資本金(出資金)を払い込みます。この時点ではまだ法人口座はないため、個人の口座を使用します。

STEP4:法務局へ登記申請をする

必要書類をすべて揃え、法務局に「合同会社設立登記申請」を行います。申請が受理された日が「会社の設立日」となります。

合同会社設立のデメリットと注意点

メリットの多い合同会社ですが、注意すべき点もあります。

  • 社会的信用度が低い場合がある: 知名度や歴史の観点から、株式会社に比べると信用度が低いと見なされることがあります。特に、大規模な取引や金融機関からの融資において、不利に働く可能性はゼロではありません。
  • 資金調達の方法が限られる: 株式会社のように株式を発行して広く出資を募ることができません。そのため、資金調達は社員からの追加出資や、金融機関からの借入が中心となります。特に、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資を検討している場合、注意が必要です。VCは株式の取得を前提に投資を行うため、合同会社は信用度の面で投資対象外とされることが一般的です。
  • 社員間の対立リスク: 意思決定が出資者(社員)の同意を基本とするため、社員間で意見が対立すると経営が停滞してしまうリスクがあります。

まとめ:あなたの事業に合同会社は最適か?

設立・運営コストの低さと経営の自由度の高さが魅力の合同会社は、スモールスタートを目指す事業にとって非常に優れた選択肢です。一方で、将来的な事業拡大や外部からの大規模な資金調達を視野に入れている場合は、株式会社の方が適しているかもしれません。

どちらの形態がご自身の事業にとって最適か、専門家は長期的な視点も踏まえてアドバイスを差し上げます。法人設立でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

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