医療資格者の業務範囲を整理してみる (7)オ.視能訓練士CO
さて今回は、視能訓練士について。
他の職種ページへの移動は、本シリーズの「0(前提)」ページにリンクを置いてありますのでそちらから。
(7)オ.視能訓練士CO
身分の根拠法
視能訓練士は、CO(Certified Orthoptist)と呼ばれることがあります。
そしてその身分の根拠法は「視能訓練士法」。こちらの略称は寡聞にして存じ上げません。
第二条 この法律で「視能訓練士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、視能訓練士の名称を用いて、医師の指示の下に、両眼視機能に障害のある者に対するその両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を行なうことを業とする者をいう。
視能訓練士法((昭和四十六年法律第六十四号),平成27年8月1日(基準日), https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=346AC0000000064
第十七条 視能訓練士は、第二条に規定する業務のほか、視能訓練士の名称を用いて、医師の指示の下に、眼科に係る検査(人体に影響を及ぼす程度が高い検査として厚生労働省令で定めるものを除く。次項において「眼科検査」という。)を行うことを業とすることができる。
視能訓練士法((昭和四十六年法律第六十四号),平成27年8月1日(基準日), https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=346AC0000000064
2 視能訓練士は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査並びに眼科検査を行うことを業とすることができる。
3 前項の規定は、第八条第一項の規定により視能訓練士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。
この赤太字部(弊事務所追加)が、視能訓練士の資格職としての業です。
★視能訓練士の行えない検査
視能訓練士法17条で、視能訓練士の業務から、眼科に係る検査から「人体に影響を及ぼす程度が高い検査として厚生労働省令で定めるもの」が除外されています。
ここでいう厚生労働省令とは、視能訓練士法施行規則を指します。
(法第十七条第一項の厚生労働省令で定める検査)
視能訓練士法施行規則(昭和四十六年厚生省令第二十八号)施行日: 令和元年七月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=346M50000100028
第十四条の二 法第十七条第一項の厚生労働省令で定める検査は、涙道通水通色素検査(色素を点眼するものを除く。)とする。
つまり、「涙道通水通色素検査(色素を点眼するものを除く。)」は視能訓練士はできないということです。
★医師の具体的な指示の要求
また、18条では「医師の具体的な指示」を要求する業務の指定がなされています。
もともと視能訓練士の業は「医師の指示」を必要としますが、より視能訓練士の裁量を狭める表現かと思います。
第十八条 視能訓練士は、医師の具体的な指示を受けなければ、厚生労働省令で定める矯正訓練又は検査を行なつてはならない。
視能訓練士法((昭和四十六年法律第六十四号),平成27年8月1日(基準日), https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=346AC0000000064
こちらもまた、視能訓練士法施行規則に定めがあります。(めっちゃ読みにくくて驚く…)
(法第十八条の厚生労働省令で定める矯正訓練又は検査)
視能訓練士法施行規則(昭和四十六年厚生省令第二十八号)施行日: 令和元年七月一日, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=346M50000100028
第十五条 法第十八条の厚生労働省令で定める矯正訓練又は検査は次のとおりとする。矯正訓練抑制除去訓練法異常対応矯正法眩惑刺激法残像法検査散瞳どう薬の使用眼底写真撮影網膜電図検査眼球電図検査眼振電図検査視覚誘発脳波検査
★臨床検査技師、言語聴覚士による「眼」の検査
「眼」分野でいうと、臨床検査技師に「眼振電図検査(冷水若しくは温水、電気又は圧迫による刺激を加えて行うものを除く。)」及び「眼底写真検査(散瞳薬を投与して行うものを除く)」が、臨床検査技師等に関する法律施行規則にて認められています。
※本シリーズの「エ 臨床検査技師」ページ参照
また、言語聴覚士にも「眼振電図検査(冷水若しくは温水、電気又は圧迫による刺激を加えて行うものを除く。)」が、言語聴覚士に関する法律施行規則にて認められてます。
※本シリーズの「ケ 言語聴覚士」ページ参照
業務
まずは図で大枠を見ましょう。
本シリーズの「0(前提)」で紹介した厚労省作成の図を簡略化し、いくつかの要素を追加した上で、視能訓練士の業務範囲等を書き込んだ図を作成しました。
- 視能訓練士は、「両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査(第2条)」及び「眼科検査(第17条)」を業とする者で、①業務独占はありませんが、②診療の補助として専門業務を業とすることができ、そして③その他診療の補助に当たらない業務(保健指導含む)を行うことができます。
①視能訓練士の業務独占:なし
視能訓練士には業務独占の定めはありません。
②視能訓練士による診療の補助
視能訓練士には、「診療の補助」として業とすることが可能と定められている業務(下引用の青太字部(弊事務所追加))があります。
17条が再度登場です。
第十七条 視能訓練士は、第二条に規定する業務のほか、視能訓練士の名称を用いて、医師の指示の下に、眼科に係る検査(人体に影響を及ぼす程度が高い検査として厚生労働省令で定めるものを除く。次項において「眼科検査」という。)を行うことを業とすることができる。
視能訓練士法((昭和四十六年法律第六十四号),平成27年8月1日(基準日), https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=346AC0000000064
2 視能訓練士は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査並びに眼科検査を行うことを業とすることができる。
3 前項の規定は、第八条第一項の規定により視能訓練士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。
★診療の補助の限定解除の理解
診療の補助に関しては下記のように理解しています。
- 医師法により、医行為を業とすることは医師の業務独占と定める
- ※本シリーズの「(1)医師」ページ参照
- 医行為の一部を「診療の補助」として、保助看法により看護師に限定解除(主治の医師又は歯科医師の指示が必須)
- ※本シリーズの「(5)看護師、准看護師」ページ参照
- その「診療の補助」のうち一部の各専門業務を、各専門資格保持者に限定解除している(根拠は個別法)。
- 視能訓練士の場合は、以下の行為を「診療の補助」として業とすることができる。
- 両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査並びに眼科検査を行うこと
- 視能訓練士の場合は、以下の行為を「診療の補助」として業とすることができる。
※「診療の補助」業務への医師の関与については、第17条の2に明記はありません。ですが、そもそも「診療の補助」は看護師に対して主治医の指示を要求していること(保助看法)、加えて、第2条及び第17条で医師の指示を要求していることから、医師の指示は必要とされると考えるのが妥当かなーと考えています。(視能訓練士の業が診療の補助の業を内包しているのではないかという考え。)
③その他の業務
可能な医療関連行為をひとつひとつ挙げていたらきりがありませんが、とりあえず保健師の業務独占と考えられがちな保健指導だけ。
保健指導は、保健師その他の独占業務ではないため、その他職種も行うことができます。
もうちょっと詳しくは、当シリーズの「(3) 保健師」のところを参照。
その他、医療従事者間の具体的な業務分担については、厚労省の役割分担通知を本シリーズの「0(前提)」ページでかるーく紹介していますが、現在進行系でタスクシフト・タスクシェアが進んでますので最新の状況は都度要確認です。
名称独占
視能訓練士法第20条に名称独占の定めがあります。
(名称の使用制限)
視能訓練士法((昭和四十六年法律第六十四号),平成27年8月1日(基準日), https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=346AC0000000064
第二十条 視能訓練士でない者は、視能訓練士という名称又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。
さて、次は「(7)カ.臨床工学技士CE」の紹介をしていきます。
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