【法人設立ポイント解説】設立計画から登記、事業開始までの完全ガイド #1株式会社編

【法人設立ポイント解説】設立計画から登記、事業開始までの完全ガイド #1株式会社編
はじめに:最も選ばれる会社形態、株式会社設立の全体像
法人設立を考えたとき、最も多くの方が選択するのが「株式会社」です。社会的信用度の高さや、資金調達のしやすさなど、多くのメリットがあります。しかし、その設立手続きは、合同会社などに比べるとやや複雑で、計画的に進めなければ思わぬところで時間をロスしてしまうことも少なくありません。
このコラムでは、株式会社を設立するための具体的なステップを、計画段階から設立後の手続きまで、時系列に沿って分かりやすく解説します。これから株式会社の設立を考えている方は、ぜひこの全体像を掴んで、スムーズなスタートを切るための準備にお役立てください。
STEP1:すべてはここから!設立計画フェーズ
手続きを始める前に、まずは会社の骨格となる基本事項を決定します。この計画が曖昧だと、後の定款作成や登記申請で手戻りが発生してしまいます。
1. 会社の基本事項を決める
以下の項目は、定款を作成するために必ず決めなければならない重要事項です。
- 商号(会社名): あなたの会社の顔となります。法務局の管轄内で同一または類似の商号がないか、事前に確認が必要です。アルファベットや数字も使用できます。
- 事業目的: その会社が「何をする会社なのか」を具体的に記載します。将来行う可能性のある事業も、あらかじめ記載しておくことが重要です。特に、許認可が必要な事業を行う場合は、その要件を満たす文言を正確に入れる必要があります。
- 本店所在地: 会社の「住所」です。自宅やレンタルオフィスでも登記は可能ですが、許認可の要件や社会的な信用度も考慮して慎重に選びましょう。
- 資本金の額: 事業の元手となる資金です。詳しくは別のコラム【法人設立ポイント解説】資本金はいくらがベスト?で解説しますが、運転資金や信用力を考慮して決定します。
- 発起人(ほっきにん): 会社を設立する人(出資者)のことです。1名から設立可能です。
- 事業年度: 会社の決算期をいつにするかを決めます。一般的には4月1日から3月31日が多いですが、自由に設定できます。繁忙期を避ける、消費税の免税期間を考慮するなどの戦略的な視点も重要です。
2. 機関設計と役員構成を決める
株式会社は、誰がどのように会社を運営していくかのルール(機関設計)を定款で定めます。
- 役員構成: 最低でも取締役1名がいれば設立できます。複数名で経営する場合や、会社の規模によっては、代表取締役や取締役会、監査役などを設置することも可能です。
- 株式譲渡制限: 株式を自由に売買できないようにする「譲渡制限」を設けるのが一般的です。これにより、意図しない第三者が経営に参加してくるのを防ぐことができます。
STEP2:会社の憲法づくり!定款作成フェーズ
STEP1で決めた事項をもとに、会社の基本ルールを定めた「定款(ていかん)」を作成します。これはまさに「会社の憲法」とも言える最重要書類です。
定款には、法律で必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」(商号、事業目的など)のほか、任意で定めることができるルールも盛り込めます。
【ポイント】 行政書士などの専門家は、電子定款の作成に対応しています。電子定款を利用すると、紙の定款で必要となる4万円の収入印紙代が不要になるため、設立費用を抑えることができます。
STEP3:公的なお墨付き!定款認証フェーズ
作成した定款が法的に正しいものであることを、公証役場の公証人(こうしょうにん)に証明してもらう手続きです。この「認証」を経て、定款は正式な効力を持つことになります。
- 場所: 本店所在地と同じ都道府県内にある公証役場
- 必要なもの: 作成した定款、発起人全員の印鑑証明書、実印など
STEP4:事業の元手を準備!資本金の払込フェーズ
定款認証後、発起人個人の銀行口座に、定められた資本金を振り込みます。この時点ではまだ法人口座は作れないため、発起人の誰か一人の口座を使用します。
振込が完了したら、その通帳のコピーなどをもとに「払込証明書」という書類を作成します。これが、資本金がきちんと準備されたことの証明になります。
STEP5:法務局への最終申請!登記申請フェーズ
いよいよ最終ステップです。設立に必要な書類をすべて揃え、法務局に「株式会社設立登記申請」を行います。申請書類が受理され、登記が完了した日(法務局が申請を受け付けた日)が、あなたの「会社の設立日」となります。
この登記手続きは司法書士の専門分野であり、私たち行政書士は信頼できる司法書士と連携して、スムーズな登記完了までをサポートします。
STEP6:忘れずに!設立後の各種届出フェーズ
登記が完了して会社が誕生しても、すぐに事業を始められるわけではありません。以下のような行政機関への届出が必要です。
- 税務署: 法人設立届出書、青色申告の承認申請書など
- 都道府県・市町村: 法人設立届出書
- 年金事務所: 健康保険・厚生年金保険の新規適用届
- 労働基準監督署・ハローワーク: 従業員を雇用する場合
まとめ:計画的な準備が成功の鍵
株式会社の設立は、一つひとつのステップを着実にクリアしていく必要があります。特に、事業の根幹を定める「STEP1:計画フェーズ」と「STEP2:定款作成フェーズ」が、その後の事業運営や許認可申請のスムーズさを大きく左右します。
私たち行政書士は、単に書類を作成するだけでなく、お客様の事業が成功裏にスタートできるよう、計画段階から伴走します。設立手続きで迷われた際は、ぜひ一度ご相談ください。

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